ニックネーム


時刻は昼休み。
教室でくだらない事ダベっていた時であった。
昼食の焼きそばパンを思い切り頬張り、牛乳で流し込んでいた俺と、
たこウインナー(自作らしい)を嬉しそうに食べているひーちゃん。
話題も途切れ何となく無言になった瞬間、事件は起こった。

「京一、今日からお前の事『キョンキョン』って呼ぶ事にする」

突然の発言に、思わず牛乳をひーちゃんに吐きかける俺。
ついでに手に握ってた焼きそばパンも握りつぶす。(涙)

「…キタネェ」
「わ、悪ぃ! …って、何で俺が『キョンキョン』なんだよ」

吹きかけた牛乳をグシグシと手で拭いてやると、
超嫌そうな顔をしてひーちゃんがありがとうと言い、弁当を食べ始めた。
絶対…感謝の言葉じゃねぇ…(怒)

「『キョンキョン』なんて嫌だぜ? 京一っつー方がしっくり来るからな」

腕を組んでウンウンと頷く。
ひーちゃんは相変わらず弁当を突付いてるが、
牛蒡を手にした瞬間、表情が強張った。

「!!」
「ど、どうした…ひーちゃん…!!」
「『キョンキョン』より『ほーりゃいじ』の方がラヴリーだ…」

ガタンッ!ガラガラ!ドシーーーン!!

…っつ、くっ…こっちはマジで心配したっつーのに…!!(怒怒)
よろよろと立ち上がり、椅子を正して座りなおす。
体の節々が痛いが、取り合えず『ほーりゃいじ』をどうにかせにゃ…。

「ほーりゃいじ、豪快にコケたねぇ♪」
「うるせぇ! 黙れトンチキ!!(←謎)」

ひーちゃんの顔をうにうにしてると、教室の入り口から笑い声が聞こえてきた。
野太く、重量のあるこの声は───
俺とひーちゃんは声の主の方へと首だけギリリと向けた。

「どうしたんだ、何だか面白そうじゃないか」

予想通り向ってきたのは爽やか好青年醍醐雄也(通称タイショー)だ。
お得意の爽やかスマイルでワハハと豪快に笑いながら歩いて来る姿は、
ハッキリ言って見苦しい以外の他何も無い。(笑)

「何でもねぇよ」
「何だ、つれないな」

俺はひーちゃんの方を向きなおす。
そして驚愕の事実を知ってしまった。
彼が眉間にしわを寄せて何かを考えている事にッッ!!

「ぐばばばぼべっっっっ!!!」

ガタンと席を立ちズビシとひーちゃんを指差して混乱する俺。
落ち着け、落ち着け蓬莱寺京一ッッ!!
今俺が混乱してたら、タイショーにとんでもない仇名が付いてしまう!!

「ややや、ややめめめ!!!」

ダメだ…混乱しきってる!!(涙汗)

「きょ、京一?大丈夫か?」

タイショーがメチャメチャ心配そうな顔して覗き込んでくる。
ありがとよ…けど、俺はお前を助けてやれそうにねぇ。(涙)

「ほーりゃいじ…俺、思うんだけど…」
「いっ、いひぃぃ!! (訳・つ、ついに来た〜〜!!)」
「京一、一体何に怯えてるんだ?」

ひーちゃん(の皮をかぶった悪魔)が席を立ち、フッと笑って人差し指を突き立てる。
何をしてるのかはよく解らないが、タイショーの危機には変わりはない。
哀れタイショー。『ほーりゃいじ』の二の舞と化すのか。(涙)

「『ほーりゃいじ』より『きょーらいじ』のほうがイイ感じ」

………もとい、哀れ俺。(涙)

「『きょーらいじ』か。 ナカナカいい感性してるな、龍麻」
「だろ?『醍醐ロン』!」

だ、醍醐ロンッッ!?!?
ゼ○ダの隠し武器かそりゃ!?

「『醍醐ロン』? ははは、そりゃ傑作だな、ははは!」
「ははは、ナイスだ俺! この調子で小蒔達にもつけるぞー!」

こ、小蒔達だとぉぉ!?
おのれ…俺の小蒔になんちゅうコトを考えて……(怒)
兎も角それだけは絶対に阻止すべしッッ!!

「あっ、いい所に小蒔とアン子がいるな」
「おお、なんという偶然だ。 おーい、二人共〜」

げっ、タイショー!呼ぶんじゃねぇ!(汗)
俺は小蒔達のいる廊下に向けて全力ダッシュして阻止することにする。
何としても…愛しの小蒔だけは護らなければ…ッ!

ダダダダダッッッッ!!

「うおっ、どうしたんだきょーらいじ!急に走るとこけるぞ!」
「……チッ、感づかれたか」

俺は教室の一角から愛する者の元へ全力疾走をする。
小蒔の手を掴もうと手を前に出しながら進む。
10m…5m…3m…あと少しだ!あと少しッッ!!

「小蒔ィィィッッ!! 手を俺に差し出した後、二人で悪魔の手から逃れようッッ!!」
「・・・・はぁ?」

俺の大声が教室&廊下に響き渡る。
愛と苦悩と悲しみが混ぜこぜになったこの声が。
だが次に返って来た言葉は…。

「何バカ言ってんだよ、きょーらいじ!!」
「…なっ…こまッ…!!」

な、何故『きょーらいじ』を知って──!!
おかしい。絶対に何かおかしい!!
知るはずの無い小蒔が何故『きょーらいじ』の事を知っているんだ!!

俺の脳内を疑問という名の絶望がグルングルン渦巻いている時、悲劇は起こった。
悪い事は重なるモンなんだなぁ……。(涙)

「きょーらいじ、あぶないッッッ!!!」
「京一ッッ!!」
「どうして知って……ッどあぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」

ズベシッッ!!

俺は豪快に顔面から廊下に滑り込む。
痛ひ…鼻頭擦りむいちまった…あいたたた……。

「あ〜あ、慌てるからだよきょーらいじ」
「う…うるひゃい! もう知りゃん!!」

不貞腐れて廊下に寝転ぶ俺。
そんな俺を小蒔達は笑っていた。
……もう知るか…。(泣)




〜後日談〜

「なっ、ありゃ全部計画だったのか!?」
「……ああ」

俺の声が昼時の学校に響く。
大声で叫ばれたのが相当嫌だったのか、ひーちゃんは不貞腐れている。

「だから、初めから醍醐と小蒔とアン子には連絡しておいたんだよ」
「…また手間掛る悪戯だな…(汗)」
「うるさい、きょーらいじ」
「だぁぁぁ!!もうその名前で呼ぶな!」

…ううう。
暫くはこのネタで弄ばれそうだな。
哀れ、俺。

…………合掌。



 あとがき 


とても面白かったのでS氏のサイトから強奪してきた小説です♪(笑)
個人的に「ほーりゃいじ」の方が可愛いと思います。
なんとなくですが「きょーらいじ」って語呂悪くないですか……?(そういう問題か/爆)

ノーマル思考なS氏には言いませんが、冒頭部分の龍麻と京一の会話がどうも可愛らしくてカップリングに見えます。
龍麻の顔をうにうにしてたり、顔を拭いてあげたりとか結構萌えなんですヨ☆
変な邪推入れたら駄目ですかね…思わず入れたくなるんですけれども……(爆)
強奪した割には寛大で有難う御座いました♪


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